前提

ファームウェアとWave Player

色処理パイプラインの継続的な改善を行っているため、ダウンロードページで入手できる最新のカメラファームウェアとWave Playerを必ず使用してください。カメラファームウェアv1.1.0では、ハイライト処理が改善され、ダイナミックレンジが約1/2段分広くなっています。これは、センサーのクリッピングをある程度許容し、クリッピングされていないチャンネルを使用して、より滑らかなハイライト脱飽和カーブにより、ハイライトのディテールを回復することで実現されました。Wave Player(Windows)ソフトウェア v1.4.0 では、ユーザーキャリブレーションの作成機能を追加し、固定パターンノイズ(FPN)の存在をさらに低減し、特に露出不足の状態でダイナミックレンジをさらに拡大しました。

必要な光量

高速度ビデオの撮影には、多くの光が必要です。各フレームが光を取り込む時間が短いため、より多くの光量が必要となります。WaveカメラのネイティブISOは250です。あるフレームレートでどれだけの光が必要かを知るには、同等のISOとシャッタースピードを設定した他のカメラと比較することができます。

Waveの設定他のカメラでのISOとシャッタースピード
4K, 420fps, 180ºISO 250, (1/840)s
2K, 1440fps, 180ºISO 250, (1/2880)s

ビット深度

フレームレートを最大化するため、Waveは最小限の処理とノイズリダクションを施した10ビットリニアでキャプチャしています。これは、14ビットまたは16ビットリニアでキャプチャし、HDR画像を10ビットログまで処理し、大量のオンボードノイズ低減を行うシネマカメラとは大きく異なるものです。

  • ダイナミックレンジは10〜11ストップで、シネマカメラの14ストップ以上と比べると、幅は少ないです。
  • シーンのダイナミックレンジをセンサーのダイナミックレンジに合わせるため、より慎重なライティングコントロールが必要となります。露光不足・露光過多の影響を受けにくくなります。
  • ポストでのトーンカーブ調整やノイズリダクションを追加で行うことも可能です。例えば、Wave Playerの「Shadow」調整で、シャドウのノイズをカーブで除去することができます。

コントラスト依存の黒レベルとノイズフロア

コントラストの高いシーンの黒レベルは、コントラストの低いシーンの黒レベルより低くなります。これは、ノイズフロアにも影響します。

コントラスト依存の黒レベルとノイズフロア

露出が不足しているシーンでは、黒レベルやノイズフロアが高くなります。また、シーンの情報の多くがシャドウ部にあるため、トーンカーブ調整やノイズリダクションの効果は低くなります。情報を捨てずにノイズを減らすことは困難です。

マゼンタ色のシャドウは、露出不足のシーンで黒レベルを人為的に高くした結果でもあります。これを補正するには、Wave Playerでブラックレベルを手動で下方に調整するか、シャドーロールオフの設定を調整してシャドウの彩度を下げます。


室内撮影

ウェーブは照明のコントロールのしやすい屋内のスタジオや卓上での撮影に適しています。ただし、光量は必要です。光源とスペキュラー以外のハイライトが100%弱で、ヒストグラムを正確に埋めるように露出を設定します。その後、必要に応じて光を追加し、シャドウを埋めます。

背景の選択

  • 暗く平坦な背景は、ノイズを誇張してしまいます。背景を黒くしたい場合は、シャドウカーブ調整でノイズの抑制や後処理でのノイズリダクションが必須となります。前景や被写体の影になる部分にフィルライトを追加して補正してください。
  • 明るい背景やテクスチャーのある背景は、あまり調整しなくてもそのままで十分です。
  • 背景の窓からの外光は、クリップする可能性があります。窓の外を写す必要がある場合は、下記の「屋外撮影」のヒントに従ってください。

屋外撮影

屋外には十分な光がありますが、屋外のシーンを利用可能なダイナミックレンジに適合させる必要があります。Waveを屋外での撮影使用する場合はプレビュー画像の露出を確認するために、昼光で見えるフィールドモニターとフードを使用してください。

フロントライティング

可能であれば、太陽は順光となるよう撮影者の背後に置いてください。被写体をより明るく照らすことで、シーンのダイナミックレンジを狭め、背景もより多く写し込むことができます。

バックライティング

逆光になるようなシーンでは、センサーが捉えきれないほどのダイナミックレンジを持つことなります。その場合、いくつかの選択肢があります。

  • フィルライトや太陽光を被写体に当てます。
  • 被写体に合わせて露出を調整し、空がクリップされるようにします。
  • 被写体がシルエットになるように、空に向かって露光します。